ARTISTS
GALERIE QUYNH
Dec 07, 2018 - Jan 30, 2019
2018年12月7日〜2019年1月30日まで、ホーチミンのGALERIE QUYNHにおいて、Nguyen Quang Huyによる個展“an everyday day” が開催されました。作品は心象風景のような山の景色や女性が、淡いグレーの柔らかいタッチで描かれており、展覧会場には霧に包まれたような静けさが漂っていました。
ベトナムの首都ハノイを拠点とするアーティストNguyen Quang Huyは、1986年に開始されたドイモイ(ベトナム経済自由化に伴い、多くの芸術的実験が行われた期間)後の先駆的アーティストの一人です。彼の作品の多くは、ベトナム北部の高地からインスピレーションを得ています。ハノイ美術大学の学生であった頃、年に一回山でのスケッチを行いました。卒業後も山への巡礼は続けており、霧の中に消える曲がりくねった道が作品に描かれています。
Nguyen Quang Huyは伝統的なフォトリアリズムに不満を抱き、彼独自の意図的なぼかしによる技法と、モノトーンに近いブルーグレーの抑えられた色彩を使用することにより、彼の主題である精神的な本質を捉える手法を生みだすに至りました。
仏教的哲学と、動物、植物、岩など生物・無機物全てのものに魂が宿ると考える山岳民族モン族の影響を受け、彼の風景や肖像には人々や土地の歴史が刷り込まれています。ハロン湾の石灰岩でできた断崖が、数え切れないほどの世代を見てきたように、一人の女性の魂が全ての人々の歴史を記録してきたかもしれません。そのような繊細なクオリティを目指し、彼はこの静かで物思いに耽るような絵画を描き続けています。
今回の個展のタイトル“an everyday day”は、Quang Huyの詩「Gặp」にインスパイアされています。それは、聖歌や祈りのような心に残る思い出のコレクションであり、男女の、また霧と山の間のつかの間の出会いのような禅の瞑想なのです。
mong girl(2018)
油彩
90 x 160 cm
過去と現在をつなぐような、じっとこちらを見つめるモン族の少女が印象的です。
Bamboo fence(2018)
油彩
90 x 160 cm
消えゆくような山の道にある竹のフェンスに郷愁のようなものが感じられます。
Mother and daughters(2018)
油彩
90 x 160 cm
母をいたわるように重い荷物を背負う娘たちが描かれています。
The road home(2018)
油彩
90 x 160 cm
動きがありそれでいて静かな、作家独特の表現技法を強く感じさせる作品です。
山岳民族のアニミズムの影響を受けた魂の存在を、時間を忘れさせるような静かな作風で描いたブルーグレーの画面が心に残る展覧会でした。
Nguyen Quang Huy
1971年生
ベトナム・ハタイ ドイモイ政策後出現したベトナム人実験的アーティストの第一世代
Education
Hanoi University Fine Arts
展覧会
Vietnam Fine Art Museum, Hanoi Vietnam; EunAm Museum of Art Gwangju, Korea; ifa galleries Berlin and Stuttgart, Germany; Stenersenmuseet Oslo, Noway; and Pavillon des Arts Paris, France