ゴールドに向かうブラックは正しき力〜イスラムコンテンポラリーアート Sharif Toleb

バンコクのChulalongkorn UniversityやマレーシアのRestu Collegeで美術を学んだイスラムコンテンポラリーアーティスト、Sharif Toleb。
まばゆいばかりの金色を使ったそのシンボリックな作風と、あまり知られることがないイスラムのコンテンポラリーアートの作品についてご紹介します。

色が持つ驚くべき意味合いの違い

世界的に色の共通イメージというものがあります。例えば赤なら情熱、白なら純粋さ、平和などをイメージすることと思います。
では、黒についてはどのようなイメージが浮かぶでしょう？
一般的に黒い色というのは闇を連想させ、邪悪な意味合いに結びつきやすい色ですが、Sharif Tolebによれば、黒とは力、正しき力の状態を表す色で、その力が弱まると色は薄くなって行き、グレーへと変わっていくのだそうです。

黒のイスラム的解釈

この作品では神への信頼がテーマとなっています。太陽のようなゴールドの輝きは神を意味しており、神の威光に近い状態の明るい場所にある平和の文字を象った黒い文様は、はっきりとした濃い黒であり、神との関係も健全な、力の充実した状態です。しかし光の届かない下の部分では黒は濁っていき、鈍いグレーになっていきます。

あなたは「完全」が存在すると思いますか？

Sharif Tolebは尋ねます。「あなたは「完全」が存在すると思いますか？」

これは精神のあり方についての問答のようですが、人間は完全に近づき、そして到達することが可能であるとこの作品では表現されています。波の層として表された黒い部分は、完全性を表した上部の白い多角形に近づくと黒さが際立ってきます。しかしそれ以外の層はグレーとなり、力が弱まっている状態を表しています。
これは人間の精神の波、つまり心の健全な状態と、悩みや怒り、嫉妬などの良くない状態が交互に来ることが表現されており、完全性へと向かう人間の葛藤であるとも捉えられます。

葛藤についてはこの作品が顕著に表現しているといえるでしょう。心の中の状態は常に変化しており、核となる部分の色も濃さが一定していません。しかし、頭で考えて思い悩むよりも心で神の声を感じ取ることで、外側を包み込む神の威光であるゴールドに到達できる、というものです。

写真に写るとき、彼はしきりにこの手を縦にしたポーズをとります。これは相手への祝福を表しているのだそうです。作品だけでなく、イスラムのミステリアスな部分を少し知ることができたような気がしました。

作家プロフィール

Sharif Toleb

EDUCATION
2001
Bangkok Wittaya (Foundation)
2007. Bachelor's degree, Chulalongkorn University,
The Faculty of Fine & Applied Arts, Major Painting.
2014 • Diaploma in Mushaf Art (Seni Khat) at Restu College,
Shah alam : Malaysia.
2019
Master's degree, Chulalongkorn University, The Faculty of Fine & Applied Arts, Major Painting.

経歴
2008
Illustrated for Monthly comic “roti manga" (volume 3, 4, 5).
2009
Personal Training with Senior Independent Artist name “Mr.Jakrist Karaket”.
2010
Illustrated children tale book to NIDA (National Institute of Development Administration).
2011
Creative at Amadilo Company, Sornslip TV Pragram (Art for Kids).
2013
Art Teacher in Islamic school Bangkok Wittaya.
2019 • Islamic Art Design at Institute of Islamic Art (Thailand)


展覧会
2007
“Day Dreamer” Faculty of Fine & Applied Arts, Chulalongkorn University
“Hua-Hin Art Festival”, Hua-Hin Market Village
2008
“From Chula to Srichang”, Faculty of Fine & Applied Arts, Chulalongkorn University.
“CU Academic Expo”, Faculty of Fine & Applied Arts, Chulalongkorn University.
“Culture Art Exhibition for Earth and Peace” by “terre des hommes” foundation.
2009
“From Chula to Krabi”, Faculty of Fine & Applied Arts, Chulalongkorn University.
" Memories of Krabi”, Krung Thai Art Gallery. In-charge Designer Programme Publishing and being participated artist in installation Art Exhibition “Spring in White”, Bangkok Art and Culture Center.
2010
In-charge Designer Programme Publishing and being participated artist
in “Gum Saa Lum Ma Doo Art Exibition", Faculty of Fine & Applied Art, Chulalongkorn University.
“Visual Arts Pathway” at Krabi Contemporary Art Museum.
2011
“Fire Work bãowulw” (Art Thesis), Bangkok Art and Culture Center.
2012
“Henry 25 : Five men fire after freeze”, Faculty of Fine & Applied Arts, Chulalongkorn University.
2019
“The Best Art Thesis Exhibition 2019”, The Queen's Gallery.
“POLARIS”, Bangkok Art and Culture Center.