Exhibitions

タイの近代コンテンポラリーアートの足跡をたどる“RIFTS: Thai contemporary artistic practices in transition, 1980s – 2000s”

Bangkok Art and Culture Centre

Thai

Aug 30 - Nov 24, 2019

2019年8月30日〜11月24日、Bangkok Art and Culture Centreの9Fメインギャラリーにおいて、1980年代後半から、2000年代に至るまでタイのコンテンポラリーアートを年代ごとに追った大規模な展覧会 ”RIFTS: Thai contemporary artistic practices in transition, 1980s – 2000s”が開催されました。
 芸術的権力構造への挑戦の始まりから、独立したアートスペースの作成、国境を越えたアートネットワークのつながりとともに、前衛的なアート作品が見られるようになり、今日のコンテンポラリーアートシーンに至る動きが展示されています。この展覧会は、各期間において確立され、出現した芸術の実践とイデオロギーについて包括的にまとめられたものです。

展覧会 RIFTS について

この展覧会では、タイと海外で美術教育を受けた13人のタイ人アーティストによるアートワークアーカイブから厳選された作品が紹介されました。芸術界の現状に挑戦するアーティストのさまざまな素材を使ったアートワークは、伝統的な価値観と理想的で慣習的な美学の概念で形成されてきた、限定的な芸術の枠組みに対して疑問を投げかけ、さらに、文化的価値と社会構造への批判、階級や性別の問題についても疑問を提起しています。

参加アーティストと主な作品

  • “Song for the Dead Art Exhibition”
    1985
    Mixed media, photography, video, document, scrap metal
    Dimensions variable
    The documentation of artwork installation

カモル・パオサヴァスディ
1958年生 バンコク出身
チュラロンコン大学において美術教育学士号を取得、Otis Art Institute of Parsons School of Design(ロサンゼルス、USA)にて修士号を取得。タイのニューメディアアートの先駆者であり、特にビデオアートとインスタレーションアートは国際的に展示されています。展覧会では、ビデオやスクラップなどのインスタレーション作品”Song for the Dead Art Exhibition”が展示されました。

  • “The story of metamorphosis in the farm” (右)
    1989
    Wood, metal, leather, local materials
    Dimensions variable
    Exhibition copy
    Courtesy of Montien Atelier by Estate of Montien

    "Manual Traces in the Paddy Field
    with Fish Net and Spade" (左)
    1991
    Soil pigment on paper, terra-cotta, fish net, spade
    Dimensions variable
    Exhibition copy
    Courtesy of Montien Atelier by Estate of Montien

モンティエン・ブーンマ
1953年–2000年 ウドーンターニー県出身
シルパコーン大学にて絵画彫刻とグラフィックアートを学んだ後、パリ第8大学(フランス)で彫刻を学ぶ。アイデンティティを反映したコンセプチュアルアート作成した先駆的アーティストであり、仏教哲学、オーディエンスの感覚体験を呼び起こします。

  • "The vessel / and everything in between"
    2002–2004
    Cast aluminum, magnesium alloy, water, live fishes
    Approximately 195 x 95 x 65 cm
    courtesy of Petch Osathanugrah

ピナリー・サンピタック
1961年生 バンコク出身
美術学校のデザイン、筑波大学(日本)にて学士号取得。女性の身体や器官の物質性を探求した絵画、写真、彫刻、インスタレーションなどを制作しています。

  • “Time and Experience”
    1990
    Acrylic hand-painted on canvas, acrylic foot-printed on paper
    20 x 20 cm (365 pieces), 29.5 x 21 cm (365 pieces)

カミン・レルチャイプラサート
1964年生 ロッブリー県出身
シルパコーン大学絵画彫刻およびグラフィックアーツ学部卒業後、ニューヨークに移住。宗教哲学を取り入れた彼の作品には幅広いメディアによる版画、彫刻、インスタレーションがあります。

  • “Reading for one Female corpse”
    1997
    Single-channel video installation, 6 mins 55 secs
    Dimensions variable

アラヤ・ラスジャルムルンスク
1957年生 トラット県出身
シルパコーン大学の彫刻、グラフィックアーツ、絵画学部で学士号を取得、ブラウンシュヴァイク美術大学(ドイツ)にて学ぶ。
彫刻のインスタレーション、および両方を含むビデオやテクスト作品があります。上映された「ある女性の死体のための読書」は彼女のターニングポイント的な作品として紹介されています。

  • "Dancing in Silence"
    1987
    Acrylic on canvas
    243 x 173 cm
    Second prize, Silver medal (painting) The 33rd National Exhibition of Art
    Courtesy of Sanamchandra Art Gallery, Silpakorn University

プラソング・リュムアン
1962年生 ランプーン県出身
シルパコーン大学にて彫刻とグラフィックアートを学ぶ。作品は伝統的および現代的なアートテクニックが駆使されており、今回の展示作品は国立芸術賞、国立美術展の受賞作品です。

  • “Unstraight Ladder”
    2002
    Hardwood
    190 x 230 x 295 cm

タワカイ・プンタサワディ
1971年生 バンコク出身
チェンマイ大学美術学部にて彫刻の学士号、シルパコーン大学絵画彫刻およびグラフィックアーツ学部にて修士号取得。タイのアートシーンにおいて新たな扉を開いたといえるアーティストであり、新しい可能性を探る形と空間の相互作用を強調した彫刻を発表しています。

  • “Hearts”
    2000–2007
    The documentation of performance works, 6 monitors
    1. Currency Performance Festival, New York, United States of America, 2004
    Video by Skowmon Hastanan
    2. Busan Biennale, Busan, South Korea, 2004
    3. Art_Plus-jp Performance Art Project, Matsushiro, Nagano, Japan, 2005 with ARTMARU (Tsuyoshi Goto)
    4. Satu Kali Festival, Kuala Lumpur, Malaysia, 2005
    5. Festival Periferius, Huesca, Spain, 2006
    6. Festival Interacjke, Piotrków Trybunalski, Poland, Festival Interacjke, 2007

チュンポン・アピスック
1948年生 ナーン県出身
シルパコーン大学の絵画彫刻とグラフィック芸術学部、そしてTang Changとの研究を経てボストン美術館アートスクールで芸術教育に携わり、1980年代後半タイに戻りました。パフォーマンスアートの先駆者の一人であり、社会的および政治的運動にも関わっています。

  • “Pink Man Begins”
    1997
    Pigment print on paper
    100 x 110 cm (per piece)

マニット・スリワニクブーム
1961年生 バンコク出身
シーナカリンウィロット大学美術学部卒業。東南アジアを代表する写真家の一人であり、タイでかなり早くからフォトギャラリーを創立した1人でもあります。政治的テーマや現代の出来事についてのドキュメンタリーを扱った作品などがあります。

  • Navin Gallery Bangkok (Taxi Gallery), Bangkok, Thailand.
    (in collaboration with the taxi driver Chawee Sitabut & invited artists), 1995–2000
    Mixed media, documentation, garment, photography, video
    Dimensions variable
    The documentation of artwork installation

ナビン・ラワンチャイクル
1971年生 チェンマイ県出身

チェンマイ大学美術学部卒業。
コミュニティベースのアートプロジェクトの先駆者の1人です。

  • Exotic 101, 1997
    Single-channel video installation, 7 mins, 5 stainless
    Dimensions variable

マイケル・シャオワナサイ
1964年生 フィラデルフィア(USA)出身

シカゴ美術学校にて美術研究を修了。ビデオやインスタレーションアート、また写真を含むさまざまなメディアを使用したアートワークを展開しています。

  • “untitled ”
    (2004), jed sian samurai 2019, 2019
    7 gas burners, 7 pots, bowls, ingredients, cooking equipment an d utensils, mats
    Dimensions variable

リルクリット・ティラバニア
1961年生 ブエノスアイレス(アルゼンチン)出身

リルクリット・ティラバニアは複数の国で育ったタイの現代アーティストで、現在、ニューヨーク、ベルリン、チェンマイに在住しています。カナダのオンタリオ芸術デザイン大学で美術にて学士号取得、シカゴ美術館の修士号取得。料理とアートワークなどユニークな作品を展開しています。

  • The Yenarkat Pavilion, 1999 (2019)
    1. Sunflowers, 1996.
    Oil pigments, wax, ash (paper/wood)
    and gold leaf on canvas
    229.5 × 200 cm

    2. The sweetness of life, 1999.
    Pentaptych, oil on linen
    850 x 200 cm

    courtesy of Krit Kasemsant
    3. Books from Vetal Suite Collection
    Bronze
    4. Wish you were here, 1999
    Bronze

    5. Siamese smile in a potty, 1997.
    Bronze

    6. Paradise Perhaps, 1999.
    Bronze

    7. 3 bending gaga, 2000
    Painted fiberglass and gold leaf

    8. Document materials

チャチャイ・プイピア
1964年生 マハーサーラカーム県出身

シルパコーン大学グラフィックアーツ絵画彫刻学部を卒業。1990年代の東南アジアの現代美術シーンにおいて、彼の油絵は最も影響力のあるものの一つでした。彫刻とインスタレーションも制作されています。

タイコンテンポラリーアートの歴史を知る上で、1980年代後半から2000年代に至る重要な時期のアーティストによる作品が一同に介した貴重な展覧会となりました。

Information

RIFTS: Thai contemporary artistic practices in transition, 1980s – 2000s

開催期間
2019年8月30日〜11月24日
会 場
Bangkok Art and Culture Centre
939 Rama I Rd, Wang Mai, Pathum Wan District, Bangkok 10330
電 話
02 214 6630
営業時間
10:00〜22:00 火曜〜日曜(月曜休)
URL
https://en.bacc.or.th

文責: neu