Exhibitions

Viriya Chotpanyavisut 写真展「In the mi(d)st of pale breathe」
– Gallery VER

Thai

Gallery VER

Sep 12 - Oct 24, 2020

All images by Courtesy of Gallery VER

世界が拒絶したものを「認識する」こと。見過ごされた細部を評価し、識別し、分類すること。

一枚の写真には、写真家の記憶だけが含まれるのではなく、またそれは、真実を語る特権を有した絶対的な記憶ではありません。そうした考えは、写真家によって捉えられた記憶を共有していないかもしれない、写真の被写体について考慮に入れることさえしていません。レンズの向こう側と後ろ側にいる者は、同じ写真の出来事を、まったく違った形で語り得ます。従って、「記憶の記録」という写真への考え方は、「記憶」という言葉が意味する完全な奥行きを包含することはできません。記憶とは、誰か個人に完全な状態で属するのではなく、こぼれ落ちたり、かけ合わさったりするのです。

Viriya の写真の被写体や構成に影響されてだけでなく、詮索に抵抗する物の質感もまた、別の側面に貫通できるところまで深く進み続けたいと願う人をからかいます。水の写真は、たくさんの目に馴染む小さな現象によって、静寂の一点のように集中していくように支えられています。Viriya は社会の問題点へと突き抜けていくことをはっきり阻止しながら、ある事実を取り上げ、選ぶことのそれぞれの意味を抽出します。鑑賞者は、その写真に社会、政治、文化、環境等に対するそれなりの意識を求めるかもしれません、しかし一方で、この写真家のポートフォリオは、他者には関係しない、あるいは誰の中にも同化されうる、様々な要素が融合したものなのです。

多くの場合、鑑賞者は、何が、いつ、どこで(このような疑問はイメージの中にまだ主張されているけれども)といった指標となる情報や、Viriya の視点から照らし出された影響や感情的な重要事項より、物事の物理現象を認識するだけでしょう。

「Beau, Simple, Mystérieux」(美しさ、シンプル、神秘)という三つの言葉は、フランスの批評家が Viriya のコレクションのひとつを評価するために使った言葉です。同じ感覚は彼の実践を通して現在の作品にも広がっており、「世間に目を向け、ある種の神秘をいまだ抱えたこの世界に存在する複雑な生」を保存しています。Viriya の写真世界は、派手なものでも、仰々しい被写体に意識を向けさせようと視聴者を刺激するものでもありません。しかしそれは、静寂さと、孤独、ほとんど完全な静けさと静止の世界です。環境や政治の視点から見た社会の記憶や、煮えたぎり続ける世界に抵抗しながら、薄い膜のように存在する細部と残余の世界は、どんな情動効果も受け入れる準備ができています。

Information

'In the mi(d)st of pale breathe' By Viriya Chotpanyavisut

開催期間
2020年9月12日 - 10月24日
会 場
Gallery VER
2198/10-11 (Narathiwas 22), Yannawa, Bangkok, 10110, Thailand
電 話
02 120 6098
営業時間
12.00 – 18.00  水 – 日
URL
https://galleryver.com/

文責: Aura Contemporary Art Foundation / アウラ現代藝術振興財団